引っ込み思案のブログ記事
学芸会
学芸会が3学期にあり、小野先生が私を劇の主役に選んだのも不思議だった。学級委員長になったからか、母がPTAの役員で学校に貢献しているからか? 恥ずかしくて大きな声を出せない私を練習させるのはたいへんだったろう。家でも練習するようにと先生から母にお達しがあり、母は大喜びで毎日せりふの練習を手伝って... 続きをみる
丁寧語
入学して数カ月たった頃、母が小野先生に、「キリコは小柄で小学生に見えへんさかい、電車の切符を買わんでも乗れんねん」と笑いながら言うのを横で聞いていて、私は慌てた。先生は正義の権化なのに、そんな不正行為を先生に暴露するなんて! しかし意外にも小野先生は母を批判することなく、ほほえみ返すだけだった。... 続きをみる
赤ちゃん
初めて詩を書かされたとき、先生が私の詩を教室で読み上げ、褒めてくれてうれしかった。普段褒められるようなことをしない引っ込み思案の私だから。『あかちゃんのつめ』という題の詩で、隣の家の赤ちゃんが母親に爪を切ってもらっている様子を書いた。我が家の飼い犬のクロを肥溜めから救い出してくれた隣家は、私が小... 続きをみる
ジキルとハイド
肉屋のおばさんは上得意の母にいつもおべんちゃらを言う。例えば代金の計算時に、「いやあ、お母ちゃんの方がおばちゃんより計算速いわ。あんたのお母ちゃん、すごいなあ」と私に向かって言う。母は小学校低学年の私よりも計算が遅いのによくそんな見え透いたお世辞をとあきれた。そのおばさんが、私が独りで使いに行っ... 続きをみる
2歳の記憶力
いち子伯母一家と私の一家は二階に住んだ。私達の住まいは道路に面した一番狭い部屋で、屋根裏部屋みたいに天井が斜めになっている。3人の布団を敷いたら畳はほとんど見えなかったように記憶する。食事は小さな長方形のちゃぶ台でとった。食事以外のときはちゃぶ台の脚を畳んで壁に立てかけておく。大阪に転居する前の... 続きをみる
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