私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

関西弁1

 東京に転校して、私は毎日級友の話し声に耳を傾けながら、東京の言葉をせっせと覚えた。まず罰点の記号『×』は関西弁では『ペケ』だが、こちらでは『バツ』と言う。『肥えている』は『太っている』──小太りの私は、今まで使っていた『肥える』の方が、締まった体に聞こえてうれしい。『太る』は空気膨れのようにぶくぶくした印象で嫌。≪『天高く馬肥ゆる秋』て言うやんか。≫ しかしそれから70年近く聞き慣れた今は、『肥える』は土壌のイメージで、『太る』の方が好ましく感じている。『ネズミ色』も『ネズミ』を連想して気持ちが悪いから、東京の『灰色』の方が良い。
 『のく』は『どく』、『なぶる』は『触る』、『ほる』・『ほかす』は『捨てる』、『厚かましい』は『ずうずうしい』、『こそばい』は『くすぐったい』、『かい』は『かゆい』、『さぶい』は『寒い』、『まぶい』は『まぶしい』、『明かい』は『明るい』、『かいらしい』は『かわいらしい』、『邪魔臭い』は『面倒臭い』、『辛気臭い』は『のろい』、『だいどこ』は『台所』、『ごもく』は『ごみ』、『ほんま』は『本当』、『なんぼ』は『いくら』、『しもた』は『しまった』と言い換えねばならない。ほかにも私が関西でよく使った言葉を思い付くままに挙げると、『すか』は外れの意味、『宿替い』は引っ越し、『ひとかわ目』・『ふたかわ目』は一重まぶた・二重まぶた、『五あさって』は弥のあさって、『ぐねる』は捻挫すること、『しゅむ』はしみる、『すこい』はずるい、『味無い』は味がまずい、『じじむさい』は汚らしく見える、『けったい』は奇妙、……。『しんどい』も当時はまだ共通語じゃなかった。『不細工』は、不格好と不美人の両方の意味がある。不美人は東京では『ブス』と言う。

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