私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

狂犬病

 1年生か2年生のときに、近所の山本さん宅で子犬が生まれた。私が学校から帰ると、「山本さんとこのハナがお産するからて、さっき呼びに来はったよ」と母が言うので、急いで山本さん宅へ走ったが、残念ながら既に生まれた後だった。当時は犬を家の外で飼うのが当たり前だったから、ハナは山本さんの家の前の道路で出産した。よりちゃんといくちゃんの話では、赤ちゃん犬は薄い袋に包まれて生まれてきたそう。1匹しか生まれない。
 チビと名付けられたにもかかわらず、たちまち大きくなって、中型犬のハナをすぐに追い抜いた。後ろ足で立つと人間の大人の背を超える。我が家の高い塀を飛び越えて中に入りそうになったときは怖かった。おとなしいハナと大違い。チビは雄だから?
 我が家では最初のクロのほかに野良犬を2匹飼った。山本さん宅のチビが生まれた頃に飼っていたシロは、私が道端で拾った犬で、怖がりの私が抱けるくらいおとなしかった。私の腕の中でじっとしていて、かわいい。おとなしいのは既に病気だったからか、何カ月もたたないうちに死んでしまった。ある日、庭の草むらに身を隠そうとするので、母がそのたびに追い出したとのこと。私が下校したときはもう死んでいた。母が庭に穴を掘って葬った。
 3番目の飼い犬も私が見つけた野良犬で、この犬は普通に活発だったから、じゃれついたりされると怖いけど、私が両親に頼んで飼ってもらった以上、頑張って犬の世話をするしかない。このクロも初代と同じく、まもなく行方不明になった。
 1950年に狂犬病ワクチンの接種が義務化されたそうだが、どこの飼い犬も受けさせていなかったと思う。狂犬病に感染した犬は、当時でも日本全体で数匹しかいなかったようで、身近に感じなかったのか、野犬がうろついていても誰も危険視せず、子供達は徘徊犬と戯れた。

イラストACより

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