私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

シルバーカー

 母は妹の幸子叔母を悪く言う。4年下なのに姉を立てず、上から目線で話すのが気に入らないらしい。彼女は確かに、母より自分の方が思慮深いと考えているようで、母にいろいろアドバイスする。母を思いやる親切心からだと私には分かるが、母は彼女のすることなすことが気に食わないらしい。母は人付き合いがよく、周りから好かれるたちである一方、嫌いとなるととことん嫌う性格だ。私は母と正反対で、好き嫌いの気持ちが薄く、自分に悪意を持って攻撃的に出る人以外は嫌いにならない。
 幸子がまだ独身で、大勢が祖母父の家に住んでいた頃、私の父の口利きで父の会社に勤めた。そんな古い出来事の不平まで、私は母から何度も聞かされた。「さっちゃんは旦那さん(私の父)より遅、会社に行かはんね、かなんやろ。」 70代の幸子がバイクで交通事故を起こして、以後歩くのに杖が必要になると、「さっちゃんと一緒に歩くと遅うていらいらするわ。」 これが晩年の悪口。母自身も90代は杖やシルバーカーにつかまってのろのろ歩き、私をいら出たせたのだが。
 お気楽な幸子は母に嫌われていることを自覚していない。私は子供のいない彼女にかわいがってもらったから、母の姉妹で一番好きだ。彼女といち子は、私を頭が良いと思い込み、一目置いてくれる点もうれしい。私が何気なく言ったことに、「はあ、そうか」と2人にやたらと感心されて、慌てたことが何度もある。

シルバーカー:いらすとやより

×

非ログインユーザーとして返信する