私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

トースター

 井村家(母方の親戚)随一の大尽だった芦屋の叔母ちゃん(母の叔母)が不幸に見舞われたのは、私が小学1年のときだった。彼女の夫が急逝したのだ。夫の死後、芦屋の豪邸から普通の家に引っ越し、女中達もいなくなった。神戸女学院大学に通っていた長女は退学して、翌年結婚した。嫁入り道具に電気洗濯機を持参するように言われたとのことで、親戚で唯一洗濯機を買った経験のある私の父に購入を頼んだ。
 母の妹の洋子も同じ頃に結婚したので、父は2人に、当時まだ珍しい電気トースターを贈った。上から食パンが飛び出すポップアップ式より前の、両開き式のトースターである。我が家用も買った。食パンを2枚入れると、真ん中のニクロム線に接した片面が焼け、両横の蓋を開けると自動で食パンがひっくり返り、別の面がニクロム線側になる。蓋を開け閉めするたびに、食パンがくるくる回転するのが面白く、買った当座4人で遊んだ。
 物持ちの良い我が家は、このトースターを10年以上使ったが、最後まで新品のようにきれいだった。独り暮らしをしている親戚のミネが強引に持って帰ってしまったので、仕方なくポップアップ式を買い直した。両開き式はとっくの昔に生産が終了している。芦屋の叔母ちゃんの長女にあげたトースターは、2年もしないうちに芦屋の叔母ちゃんの家に引っ越していた。私が4年生のときに、黒く焦げてみすぼらしくなっているトースターを、未婚の妹弟がぞんざいに扱うのを見て悲しかった。洋子叔母は前にも書いた通り、トースターのパンくずを集めてはパン粉として再利用していたが、やはり数年後にはポップアップ式トースターに買い換えていた。

トースター:Yahoo!オークションより
我が家のトースターはこれより古い型でした

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