三角乗り
3年生になって程無く、一郎伯父が子供用自転車を買ってくれた。22インチ。シュンペイちゃんのは20インチ。自転車を持っていない男の子達は、大人用の32インチの自転車を三角乗りする。サドルに座るとペダルまで足が届かないから、三角形の形になっている3本のフレームの中に片足を入れて、向こう側のペダルを踏み、立ちこぎで走行するのだ。私とマイコの自転車は、サドルを両足が地面に着く高さに調整した。でも練習せずに三角乗りができる彼らと違って、運動音痴の私は乗れるようになるまで何日もかかった。近所の広場で毎日練習した。母が後ろを持って走ってくれる。それでも毎日転んで足をすりむく。傷だらけになりながらも十人並みに乗れるようになったのは、ひとえに母のおかげである。
1年生のマイコは母にほとんど手伝ってもらわずに上達した。私の息男は3歳のときに買い与えたら、私の手助けなしに数日で補助輪を外せた。私の遺伝を受け継いで外遊びが嫌いな息女は、5歳のときに緩い坂で練習させてみたが、嫌がって二度と乗ろうとしなかった。その前に三輪車も買ってやったのに、乗らず仕舞い。でも成人したときには自転車にどうにか乗れるようになっていた。運動音痴の度合いは私よりマシらしい。私は母が手伝ってくれなければ一生乗れないままだったにちがいない。自転車に乗れない大人にたまに出会う。私は車の運転が怖くて運転免許を持たない希有な人間だから、自転車は必需品で、母には本当に感謝している。

三角乗り:いらすとやより