私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

丹前

 世話焼きの母は父の出勤時に、父がネクタイを締めている間にソックスを履かせる。この話を聞いた母の友人の誰もが、「旦那さんに毎朝靴下履かせたげてんの!」と驚きの声を上げるので、よその婦夫はそんなことをしないらしいと分かった。父は家では浴衣を着ており、冬は浴衣の上に丹前[たんぜん](どてら)を羽織る。朝の洗顔時、母を後ろにはべらせて丹前のたもとを持たせる。毎朝母は朝食の用意だけでなく、父の面倒を見たり、私とマイコの髪を結ったりで、大忙しだったろう。
 堅苦しい着物より洋服の方が軽くて動きやすいと思う私は、家族で父の普段着だけ着物なのが不思議だった。浴衣の下にアンダーシャツとステテコ(ズボン下)を着る。浴衣をやめてポロシャツやセーターに変わったのは、私が小学校高学年の頃だと思う。洋装化の波に飲まれてからも、回し(ふんどし)だけは最期まで固守した。ちなみにブリーフ世代の夫は、今を時めくトランクスを嫌がり、私はブリーフを店で見つけるのに苦労している。

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