私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

鉛筆削り器

 父が手回しの鉛筆削り器を買ってくれて、私の机に取り付けた。鉛筆削り器を持たない多くの同級生は、学年と共に肥後守で上手に削れるようになっていったが、現在に至るまで削り器に頼っている私は、70代の今も小刀では見栄えよく削れない。私より数年下の世代から削り器が普及し始めた。「今の子は手先が不器用で、鉛筆もまともに削れない」と、大人達が嘆くのを聞いて、『今の子』より少し年齢の高い自分も鉛筆を削れないことに羞恥心を覚える一方、鉛筆が削れないだけで不器用と決めつける大人達に反発を感じた。鉛筆を削る練習だけが器用な人間を育てるわけではない。《マッチのない時代の人々は火打ち石で火を起こせたけど、今の大人のあなた方はできないでしょう。時代と共にできると便利なことは変わるのだから、これからは鉛筆をきれいに削るよりほかの能力に秀でている方が都合のよい社会に変わっていくのです!》
 いつの世も大人は自分達の常識を基に若者を批判し、優越感に浸りたがる。私の同世代も、私から見れば見当違いの若者批判で座が盛り上がることがよくある。私は場の雰囲気に因っては反論するときもあるが、大体の場合独り白けながら適当にうなずいてやり過ごしている。

鉛筆削り器:イラストACより

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