私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

火の見やぐら

 小川にはメダカやオタマジャクシやタニシやザリガニがいた。ヒルもいるらしいが、私は見たことがない。ヒルを指差すと指が腐ると友達から聞いて怖くて、川に向かって指を伸ばさないように注意した。脚が生えかけたオタマジャクシを見る機会も多く、『オタマジャクシはカエルの子』を初めて聞いたとき、『やがて手が出る、足が出る』の手足の順序が間違っていると思った。《前脚より後ろ脚の方が先に生えるのに。》 七五調にするためにこのような歌詞になったのであって、手が先に出ると言っているわけではないと、数年後に理解したが。カエルやタニシやザリガニを捕って食べる人がいるという友達の話に驚いた。スズメを空気銃で撃って食べる人もいるらしい。
 火の見やぐらも初めて見た。家から1㎞くらい離れた所に塔のような物が立っていて、そこから火事の発生を見張ってくれている。火事を見つけると鐘を鳴らす。カンカンカンカンとよく響く甲高い音を、5年の間に何回か聞き、そのたびに恐怖に襲われた。大阪に住んでいた頃は泥棒が最高に怖かったが、転居後は火事も泥棒に劣らぬ恐怖の対象になった。みんなが怖がるお化けは、3歳の頃に父がいないと断言したので、私の恐怖心から去った。でも世の中には怖い物がまだまだいっぱいあって、幼児期の私はびくびくしながら生きていた。
 人生の苦労をまだ知らないあどけない子供達は、平和で楽しい世界を生きていると考える大人が多いようだが、世の中の道理がよく分かっていなくて予想外のことが起きたり、法律が通用しない子供社会で友達から不当な扱いを受けたり、私のような子にとっては恐ろしいことだらけである。『平和な自然』という言葉も、弱肉強食の中を必死に生きている生物達を慮っているとは思えない。

火の見やぐら:Wikipediaより

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