下校途中に工夫達が道路を掘り返しているのをよく見る。父が、彼らは日雇い労働者で、『ニコヨン』と呼ばれているのだと教えてくれた。日当が240円だから『二個四』なのだそうだ。ときどき、日本語ではない言葉をしゃべっているニコヨン労働者のグループにも出会う。子供達が、「朝鮮人や」と言う。それまで『朝鮮』という言葉を聞いたことのなかった私は、それが民族や地域・国の名前であることをしばらく理解できないでいた。朝鮮戦争が戦われている最中であることも知らなかったし、かつて日本が朝鮮半島を占領したことも、日本が長く連合国の占領下にあり、独立したばかりであることも──大体『国』の概念自体が分かっていなかった。日本人ではない人は、『アメリカ人』以外に知らない。日本の韓国併合や朝鮮人強制連行を学んだのは、中学生になってからだと思う。子供達の口振りから、『朝鮮人』は日本人より一段下に位置するらしいと感じた。大阪にいた進駐軍の『アメリカ人』達は日本人より上位だったけど。

ebipopより