私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

琵琶湖

 我が家は毎夏1週間ほど琵琶湖で過ごす。琵琶湖畔に一郎伯父の別荘があるのだ。長期に家を空けるのは空き巣が心配だから、祖母に留守番を頼む。小さな家に独りで留守番して何の面白いこともないのに、祖母は京都から毎年快く来てくれた。亭主関白の父に仕える母に、楽しい時間を与えたかったからか? 二世帯家族の世話から解放されてゆっくりできることも、少しはよかったのだろうか?
 別荘は3棟あり、2棟は瓦ぶきの普通の木造で、私達はかやぶきの一番立派な家に泊めてもらう。別荘地は白砂で覆われ、松が植えられて、家といい、白砂青松の素晴らしい景色といい、ぜいたく三昧にもかかわらず、水道や電気は引いていない。水は井戸から汲み、電灯の代わりにカーバイドランプを用いる。カーバイドに水を掛けるとアセチレンガスが発生して、それが燃える仕組みのランプである。幼稚園児の私は、水は消火に使うものと思っていたのに、水があると燃え出す物もあることを知って驚いた。井戸水は手押しポンプで汲むのだが、最初に誘い水(呼び水)が必要であることも興味深かった。だから、ポンプの使用後は備え付けのコップに必ず水を満たして、誘い水を用意しておかなければいけない。
 生ごみは掘った穴に捨てる。ごみでいっぱいになったら土をかぶせて、別の場所に穴を掘る。そのような力仕事をする男性と賄いの女性数人が、夏場だけ働いている。かやぶきの家は食事禁止なので、屋外の高床で食べるが、大きなアリ達が這い回っていて落ち着かない。トイレでトカゲに遭うのも私は怖かった。むき出しの尻にトカゲが跳び付かないかと気が気でない。

琵琶湖の別荘

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