私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

交番所

 学校まで1㎞の道のりの真ん中辺に比較的大きな十字路があり、その角に交番がある。私達は『交番所』と言っていた。交番所勤務の警察官を『巡査さん』と呼んだ。今は『おまわりさん』と呼ぶようだけど。交番所の巡査さんはよく交代するが、いずれも若い男性で、私達子供が通ると声をかけてくれるから、皆懐いていた。大人達は特高のイメージが抜けないのか、青二才の巡査さんを怖がっていた。警官に限らず、公務員は『お上』で、一般人と対等ではないらしい。
 私は10円玉を拾うたびに交番所に届ける。「偉いね。お駄賃にあげよう」といつも拾った10円玉をもらえるから、道端に10円玉を見つけた段階で自分の物だと思い、うれしくなる。4年生のときの巡査さんは、ある日買ったばかりのカメラでうれしそうに周辺の景色を撮りまくっていた。私が友達と2人で通りかかると、早速交番所を背景に写してくれた。その写真は今もアルバムに残っている。
 巡査さんが交通整理を行っているのをたまに見かけた。十字路の真ん中に台を置き、その上に乗って手信号で通行車両を裁く。交通信号機はT市内にまだ一基もなかったと思う。T市の道路は自動車より牛馬の往来の方が頻繁なのだ。

交番所の前で

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