私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

中折れ帽

 父は髪をポマードで七三分けに整え、背広、裾を折り返したズボン、中折れ帽の姿で出勤する。帽子をかぶらなくなったのは、浴衣を着なくなったころだろうか。毎日判で押したように、午前8時に家を出て午後6時に帰宅する。こんなに早く帰宅するサラリーマンは当時でも希有だったのではないだろうか? 残業せず、会社帰りに同僚と飲み屋に立ち寄りもしない。帰宅後すぐに夕食が食べられるように母は準備せねばならないので、母は私によく愚痴をこぼしていたが、時間にルーズな夫を持ってからの私は、いつ帰ってくるか分からないより予定が立てやすくてよいと逆に羨んだ。父も夫も作り立ての食事を要求しないので、早めに作っておけばよい。たまに飲み会などで夕食不要のときは何日も前に母に知らせる。その点も私の夫より勝る。こんな父も年20日の有給休暇は全部消化できなかったようだ。毎夏家族で琵琶湖に1週間ほど滞在するのが関の山だった。猛烈社員に囲まれて土日も出勤する夫の生活に比較すれば、夢のような長期休暇だが。

中折れ帽:イラストACより

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