私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

鏡台


 鏡台は嫁入り道具として本当に持ってきたのだろう、京都の狭い部屋に住んでいたときからあった気がする。大阪では部屋の片隅の暗い場所に置かれていて、私はその鏡で自分の顔を見るのが怖かった。他人の顔と違って、自分の顔は見慣れていないから? 普段は鏡に布カバーが掛けてあるので、鏡を見る機会は滅多になかった。暗い鏡に映る色黒でぎょろ目の私の像は正視に堪えなくて、写っているのに気付くとすぐに目をそむけたり、母の後ろから怖々鏡をのぞいたりしていた。こんな変な顔の人間はほかにいないだろうとまで思っていた。私の子供達はゼロ歳の頃から鏡台の三面鏡で自分の顔を毎日見て遊んでいるからか、自分の顔形を自然に受け入れている様子だった。2人とも物心がつく前から鏡像を自分だと分かっていたように思う。
 私は中学2年生のときに自分の声の録音を初めて聞いた際も、「これがあたしの声?!」と絶句した。それまで骨伝導で聞いていた自分の声と全然違う。甲高くてべたっとしていて、大ショックだった。もう少し澄んだきれいな声だと思っていたのに。私の子供達は小さいときから録音して聞かせているので、声についても衝撃を受けることはなかったようだ。

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