廣辭林
6年のときに修平の本棚から夏目漱石の『我輩は猫である』を見つけて、よく理解できないまま読み通した。漢字に全部振り仮名が振ってあるし、旧仮名遣いも読めるが、言葉や言い回しが難解で、何が面白いのかさっぱり分からなかった。
5年になったとき、父が三省堂の『廣辭林』と冨山房の『詳解漢和大辞典』を買ってくれた。どちらも旧字体・旧仮名遣いで書かれている。詳解漢和大辞典にはもちろん当用漢字も併記されている。私はそれまで国語辞典を持っていなかったので、漢字の読みや知らない言葉を引くのに重宝したが、2冊とも重くて、本棚から机まで運ぶだけでもたいへんだった。級友はもっと小さな、新字体・現代仮名遣いの辞書を持っているのに。父は購入時に廣辭林か広辞苑か迷ったと言う。岩波書店の広辞苑は2年前に初版が発行されたばかりだった。その後広辞苑の人気が上がってきたので後悔したそうだ。広辞苑は新字体・現代仮名遣いである。Wikipediaに因れば、三島由紀夫は少年時代から廣辭林を愛用し、その後広辞苑も併用したが、使いなれた『廣辭林』が一番だと書いているそう。
廣辞林と詳解漢和大辞典