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S小学校では各教科の単元が終わるごとに市販のテストを児童にさせて、理解度を調べる。易しい問題ばかりですぐに解答し終わり、余った時間に裏面の記事を読むのが楽しい。国語のテストの裏面に、アクセントについて載ったことがあり、『箸[はし]』と『橋』などの例を挙げて、高低の違いが説明してあった。『箸』はハが高く、『橋』はシが高い。共通語と関西弁の高低は逆なのが多いことに気付いていたけれど、このようにきちんと説明してもらうと分かりやすい。アクセントが書かれた国語辞典があるのを知って、早速買ってもらった。金田一京助監修の『明解国語辞典』。学校にも持参して、暇があれば眺めた。小さな国語辞典は、4年生のときに父に買ってもらった重い廣辞林より格段に引きやすい。当用漢字で現代仮名遣いだし。テレビドラマで使われる関西弁のアクセントが間違っているのを聞くと、私はいらいらする。最近のドラマは方言の指導が向上しているのか、昔に比べてアクセントの間違いが少なくなった。東北弁や九州・沖縄弁のドラマも間違いが減っているのだろうか?
関西人は自分達の文化に誇りをもっているので、東京に住み始めても共通語に直そうとしない人が結構いる。私の母はその一番手で、東京に7年半もいたのに、京都弁で通した。「京都弁やと初めて会[お]うた人もすぐにうちを覚えてくりゃはるし、京都弁がええねん。」 ある日道で子供達に話しかけたら、「おばちゃん、どこの田舎の人?」と言われたそうで、帰宅するや、「京都は田舎やあらへん」と私に怒りをぶつけた。関西弁の市民権が拡大したのは、吉本興業のお笑い芸人が東京のテレビに盛んに出るようになってからだと思う。それまでは地方の方言のひとつに過ぎなかった。
明解国語辞典:Wikipediaより