私は団塊の世代

団塊の世代の私が生きてきた時代を振り返ってみようと思います。私の記憶の間違いをご指摘くださるとうれしいです。

週刊朝日と文藝春秋

キリコ

 父が購読していたのは、『週刊朝日』と『文藝春秋』である。
 『週刊朝日』にアメリカの漫画『ブロンディ』が日本語と英語の両方で載っていた。4年生からローマ字の授業が始まって、アルファベットの文字は知っていたが、英語はちんぷんかんぷん。日本語訳を読んでも何が面白いのか分からなかった。大人向きだからか、アメリカと日本の生活様式が異なるからか? 朝日新聞の『サザエさん』は面白いのに。クイズは楽しい。子供用の雑誌に掲載されているクイズよりずっとレベルが上だ。いろいろな形式のクイズが載っていた。今思い出せるのは、『有―吉=子』の問題。答えは『有吉佐和子(差は子)』。
 松本清張の『黒い画集』もときどき読んだ。立派な社会人が妻以外の女性に溺れて人生を棒に振る男性のさがが解せず、このような話を好む大人達の嗜好も理解できなかった。松本清張は不惑の年を過ぎて天命を知る50歳になんなんとし、性も達観しているように小学生の私の目には映っていたのだけれど。私の身近にいる男性では、一郎伯父が妾を家に連れ込んで、妻である伯母やお手伝いさん達と同居していたが、『二号さん』と親戚が呼ぶ彼女は私にとって愛想のよいおばちゃんの一人に過ぎない。ほかの婦夫は皆貞節を守っているように見えた。
 『文藝春秋』のノンフィクション記事や小説も面白いものが沢山あった。アメリカのアポロ11号が人類初の月面着陸に成功する数年前に掲載されたフランス人作家の小説は衝撃的だった。月面着陸一番乗りが日本になっているのだ! 欧米諸国が地球に生還するのを前提に研究に取り組む中、日本は月への片道切符で実行した。月に立った日本人の宇宙飛行士達は、偉業を成し遂げたことを喜んだ後に宇宙服を裂いて絶命するという話である。《第二次世界大戦末期の特攻隊のイメージがまだ残っているのだわ。戦後日本は生まれ変わって平和主義を宣言し、よその国より人の命を大事にするようになってから20年もたつのに。》 イスラム過激派の自爆テロが頻発する今も、まだ日本は特攻隊のイメージを持たれ続けているのだろうか?
 芥川賞受賞の小説も載る。高校3年のとき、柴田翔さんの『されどわれらが日々』を読んで、大学進学が楽しみになった。それまで就職を選んだ方がよかったかと迷う毎日だったので。
 母はファッション誌の『装苑』を取っていた。ファッションに全く関心がない私も、『装苑』にいつも登場するモデルの松田和子の名前は覚えた。

松本清張:Wikipediaより

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